愛は惜しみなく与う⑦
傷だらけの志木は笑顔を見せてくれた。

志木もあたしもボロボロや


でもあたしも言いたいことがある



「ようやく終わった。最後まであたしの我儘に付き合ってくれてありがとう。志木がいたから頑張れたんやで。あの日…志木にとっても辛い決断をしてしまってごめんな。一緒に背負ってくれてありがとう」


車椅子に座る志木の服を鷲掴みにして引っ張る。
驚いた志木はバランスを崩しながらあたしの寝転がるベッドに体を預ける。


「これで自由や。志木もあたしも」


ヘロヘロの志木を、ボロボロのあたしが抱きしめる。
力も入らへんし、なんか腕もまともに動かんし。

でも、今出せる力、精一杯で志木を抱きしめた。


生まれた時からずっとあたしのそばに居てくれた人。 
あたしのことを否定せずに、受け止めてくれた人。
強くなろうと思わせてくれた人。


「ほんまに、ありがとう」


感謝を何回述べても足りないくらい、志木にはあたしは世話してもらってる。これでもかってくらいに。


「そんな悲しいお別れみたいな言葉やめてくれませんか?泣きそうになります」

「お別れちゃうけどさ。区切りやん」
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