愛は惜しみなく与う⑦
「でも、そうですよね。杏様は私の元から離れていくのは、覚悟していたんですけどね」


うるりと目を潤ませる。


「いや、離れへんよ」

「いつまでも一緒と言うわけにはいかないでしょう。私は貴方の選んだ道を応援しますが、今後どうなるかに…私がずっと付いていけるとも限らない」


まぁそうやけどさ
なんか、くさい言葉になるけど…



「心は繋がってる。離れても、ずっと志木のこと想うよ。まぁ確かに志木はしつこいし、ネチネチしてるし、たまに鬱陶しいけど」


すごい言われよう!
と驚いて眼鏡をかけ直す志木

でもな



「あたしは志木のことを考えない日は無いよ。志木があたしの執事なのは、変わらんから。他の人につきたいゆうても、絶対させへん。」


「私も…貴方を想わない日はありません」


「……普通に話して?」


そういうと、志木は掛け直したばかりの眼鏡を外した。


「どっちが普通か分からない」


はぁとため息を吐く志木
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