愛は惜しみなく与う⑦
「杏様?杏様?」
半ば強引に起こされる
ん…
意識を失ったのか、はたまた一瞬寝たのか、考えることを辞めたのか
どれかわからんけど
「志木、助けて」
「はぁ。なんとなく察しました」
頭を抱えてるのはあたしよりも志木
こんなん志木に相談するもんなんやろうか。
でもあたしは、なんでも話せるのって志木しかおらんくて…
「で?泉をみると心臓が煩くて困ってるってことでいいですか?」
「ば!バカ!!!あたしの複雑な感情をそんな簡単にまとめんな!」
志木の口を無理矢理押さえつける。
誰かに聞かれたらどないすんねん!!!
「はぁ。杏様はそれで何を相談したいんです」
「……死ぬんかな、あたし」
「はい?」
「動悸がするゆうてるやろ!!!!」
すっとぼけた顔をする志木の肩を殴る。
何もしてないのに動悸がするのは、危ないことくらい分かってる。
「……杏様はなんで動悸がするようになったんです?」
「それは……言えへんけど」
流石に人様に泉が言ってくれたことを話す事はせんけどやな…