愛は惜しみなく与う⑦
「まだ早い気もしてましたけど、杏様も女の子ですからね。私がいつまでも全員蹴散らすのもおかしな話ですし」

「蹴散らす?」

「こっちの事情です」

とりあえず

志木は仕切り直すように話し出した。



「あなたは思うままに行動してください。」

「あたしの思うまま?なんか危険な匂いがプンプンせんか?」

「それはそれ、これはこれです。危険なことも多少なら目を瞑りましょう。
もうあなたは、誰かの為に自分を犠牲にする必要はないということです。誰かや何かを考えて、自分の気持ちを押さえ込まなくてもいいと言うことです。わかります?」


うん、と頷く



「それが分かってるなら、時間がかかっても、貴方のやりたいようにおやりなさい。泉も長期戦は覚悟してます」


「長期戦?戦うの?」


そう訊ねれば、やれやれと言った顔をされる。なんやねん。泉は長期戦するん?何と?


「でも貴方が戸惑って泉を避ければ、泉は悲しむのは分かりますか?」

「うん、それはそうならんようにする!」

「是非そうしてあげて下さい。いつも通りで構いません。それでももし何か、泉に言いたい事が出てきたら、伝えてあげて下さい」



うん、わかったよ
志木はオトンみたいやな。
心が軽くなったよ
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