愛は惜しみなく与う⑦
志木のことをチラチラ見ながら残りのご飯も食べる。でも途中で箸が止まった。


「なにその顔。本気でゆうてんの?」


志木の表情から、その発言がふざけたものではなく、本気で言ってることが分かった。

志木が母上に会う?なんて聞くこと、今まで一度もなかった。


「何かあった?」




「……鈴が、蘭様には全て話しました」



え?


どういうこと?


「全てってなに?」

「全てです。あの事件は貴方が招いたものではなく、鈴自身が如月冬馬と組んでやったと。居なくなった穴を、蘭様と東堂を守るために、杏様が埋めてくれたこと。つい最近の鈴は、杏様だったってことも…

鈴は全て話しました。これは、鈴が貴方を思って頑張りたいと言った結果です」


意味わからん意味わからん

なんで言うの?

そのままスッて何事もないように過ごせば、丸く収まる話や。


サトルも水瀬もそのことについては、話さないだろうから。

誰かが言わなけりゃ、もう終わっていく出来事やのに。


「なんで言うねん」


意味わからんやん。
言ったら……あたしが鈴のフリしてた意味ないやん。
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