愛は惜しみなく与う⑦
ほとんど泣いている響に、不安そうな顔をしている朔達。


「皆んなが待ってくれてたら、頑張れるねん。帰る場所…作って、待ってて」


あかんな
あたしが泣きそうや

もう一度、この危険な場所に戻ってきてくれた。気持ちは充分伝わった。


「無茶するだろ」

いたいなぁ
朔はあたしの頭に腕を置いて、そのままその腕は後頭部に回り、抱き寄せられた


鼻、ぶつけたよ



「なんでそんな強いんだよ。お前はバカかよ。泣けよ」

「んーん。泣かへんよ。なぁ……あたしの最近の夢教えたろか?」


朔から少し離れて、泣いている響と、あたしを心配そうに見つめる新と慧…

あたしの手を強く握ってくれる朔


4人ともを抱きしめた



「みんなで北蓮見卒業するのが、あたしの夢やねん。6人揃って、笑って卒業するねん」


4人とも目を潤ませている
かわええな
守らせてよ



「この夢のために、ちょっと頑張らせて。信じて待ってて。負けるなって応援しといて」


あぁ

伝わった


4人の顔に力が入った



「何もできない事は分かってるから、待ってる。その代わり、泉は盾にでも使って、自分の身を守れよ」


ドンと肩に朔の拳がぶつかる

ふふ、盾にしたら、泉がボロボロなるやん


< 32 / 404 >

この作品をシェア

pagetop