愛は惜しみなく与う⑦

「熱は?」

「すんません。仮病です!」

「…次仮病つかったら、1年間包丁触らせねーからな」

「はい。すみません!よろしくお願いします」


頭を下げた
クビだと言わない安達さんは、とても優しい

なんだか心が軽くなったよ


吉田さんは俺達を見てニコニコと笑っていた


吉田さんの言葉


会える可能性があるなら、いい

絶望なんかじゃない


会える日を楽しみにやるべきことをやらなきゃ。


まだ料理の腕だって、手際だって、杏のほうがいいから、結局は夜ご飯は、杏に頼りっきりなところがある。


杏が帰ってきたら、ご飯は俺に任せてくれるかな。


杏は美味しいって言ってくれるかな。


バイトの話もいっぱい聞いてほしいな。


俺、頑張って待つよ


一生会えないわけじゃない。


杏が俺たちを支えてくれたから、次は俺たちが杏の帰ってくる場所をしっかりと作って、支えていかなきゃ


だって、帰ってくるって言ったから


待っててって言ったから



「がんばろっと」


エプロンをして頭に帽子をかぶって準備完了




「いらっしゃいませ!!!」



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