愛は惜しみなく与う⑦
心があったかくなった。とても優しい子だ。
吉田さんは、失う辛さを知ってるんだね。
「ごめんね。そうだとしても、悲しいことは思い出したくないよね。ごめん。俺は……弱くて…その人が居ないと不安になるんだ。ちゃんと俺はやってけてるのかなって不安になる」
「……それは、響先輩の彼女ですか?」
大事な人って言うとそうなるよね
ごめん。ちがうんだ
「金髪の女の子いるでしょ?よく来る子。あの人はね、俺のお姉ちゃんみたいな人なんだ。杏がいたから俺は、こうやってバイトもできてるし、吉田さんともカウンター越しだけど話せてる」
窓際のいつもの席
そこに杏達が座っているように思える
「そうですか。お姉ちゃんですね。じゃあえみりも、その人に感謝しなくちゃですね」
「ん?」
「えみりと響先輩が話してくれるのは、その人のおかげでしょう?だから、えみりも感謝です」
吉田さんはにこりと笑って、後5分で店を開けなきゃ!と時計を見て騒ぎだした。
ほんとだ、やべ
始まる!
そのタイミングで安達さんは帰ってきて、俺を見て少しビックリした顔をした。