愛は惜しみなく与う⑦
コンコン


ん?病室にノックの音が

もう点滴の時間も終わったし、面会も終わってるし、志木が戻ってきた?
なんか忙しい的なことゆうてたのに。

1人の時間を久しぶりに堪能できると思ったのに。


「あたしに会いたくなった?3時間しか経ってへん、3時間」


いつもは勝手に入ってくるのに入ってこないから、なんかあると思ってノリノリで……



「スペシャルスーパーキッック!!!大腿骨に負担のないキックを編み出したーーーーぜーーーーーぇ…………え?」



リハビリの中で編み出した新技を志木に使おうと、助走をつけて飛び出した。


カーテンで仕切られた向こう側にいる志木目掛けてジャンプした


志木ならさ


避けるから



やのに、そこにいる人は、驚いた顔をしてあたしを見たまま避けない


え?

ちょっと?

なんで???


ぶつかる寸前の所で目的を壁に変えて自ら壁にぶつかる。


いやいや



痛いし



でも、ここにいる人に当たらなくてよかった



「は、母上…どうしてここに」



あたしも驚いた

新技を母上にぶつけてしまうところやった。
< 347 / 404 >

この作品をシェア

pagetop