愛は惜しみなく与う⑦
ちゃうちゃう。こんなんおかしい
こんな状況やのに、普通に話すのおかしいやん。

でも母上の視線はあたしをとらえる 


その目に何度写りたいとおもったか

何度あたしを見て欲しいとおもったか


その母上の視線が今、あたしに注ぐ


「どうして来られたんですか?」

「鈴ちゃんに聞いたから。貴方が死にかけてると」


聞いたからなに?
聞いたから見にきた?よくわからん



「突然すぎたわね。話したい事があったのよ。でも日を改めることにするわね」


どうして突然きたのか
聞きたいけど聞けない

なんて返答が返ってくるかが怖くて聞けない



「思ったよりも元気そうで安心した。身体には気をつけて。また来ます」


安心した?

気をつけて?



母上はなんでそんな、悲しい顔をしてるや



咄嗟に手を伸ばした

あたしの手は母上の、出て行こうとする肩を掴んだ


引き止めてどうする?なんの心の準備もしてないのに、引き止めて話したい事が話せるん?

てゆうかこれは、ほんまに母上なんか?



「杏、もう寝なさい。また来るから」






名前


「あたしの名前呼んだ」
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