愛は惜しみなく与う⑦
母上は目を覆う


この人はどれほどの物を抱えていたんやろうか。

あたしに対してだけでも、かなりのものを抱えている。じゃあ他のことは?どこに吐き出してるん?


「貴方が認めてもらおうとする努力は、自分があの人に認めてもらいたくて努力していたこと同じだった。無駄になってしまった私の努力。貴方を見ているとどんどん惨めになった。苦しかった。

そのくせ人一倍正義感が強くて、私が行き詰まったり苦しい時に、貴方はずっと笑いかけてくれたの。


なのに

貴方は…私に似すぎていた。


報われなかったあの時の私を…忘れてしまいたい惨めな過去を…貴方をみるたびに思い出した。


貴方がなにも言わなくても自ら努力したり、新しいことに挑戦したり……その自我も怖かった。こんな窮屈な環境にいるはずなのに、貴方はどこにでも行けそうで…私に似てるはずなのに、とても楽しそうで……羨ましかった」


こんなことあたしが知るわけがない。

ずっと何か理由があるんやろうとは思ってた。別にピンとくるものもなくて、何かな〜とは思ってたけど。

こんな複雑で、人間臭い理由やとは思わへんかった
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