愛は惜しみなく与う⑦
志木とサトルの事は見えない。てか、見ない。志木に時間稼いでって言ったから、それはちゃんとしてくれるって信じてるから。


ただ鈴おる…

ってな?


何してるんやろって思った瞬間



「遅い」



あたしの後頭部に泉の手が回り、視界に泉がいっぱいになる。びっくりして目を閉じた。

でも

何もない


えっと?


おそるおそる目を開けてみれば、あたしの事を物凄い笑顔で見つめる泉が居た。

え…何?



「キスされると思った?しないよ。杏の言うこと聞くつもりないから」


……ポカーン
あたしは本当に間抜け面をしていたと思う。
自分でもわかるもん



「キスされると思って目を瞑ったの、可愛かったよ」


ぼそっとそのまま耳元で呟く

なぁ
誰かあたしをどついてくれ。泉のことも!金槌でもなんでもええからさ。

こんな状態で、死ぬ物狂いの状態で


泉は何を笑顔でゆうてるんや?
そしてなんであたしは、目を瞑ってん!!!



「可愛い杏が見れないのは困るから、そろそろ目を開けてやろうかな」


え?泉?

あたしの肩を抱き、そのまま泉はフラフラもせず立ち上がる。

えっと…


逃げてほしいって言うやつは…?
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