愛は惜しみなく与う⑦
「珍しいな。妹に怒ることがあるんだな」
「……救いようないやろ。せめてあたしだけは…本音でぶつかろうと思った」
「な!!そんなんされても嬉しくないわよ!」
「別に、喜ばせるためにやってるんちゃう」
「何よ!!お姉ちゃんなんて…大嫌い!!」
鈴が大きな声を出した
じっと目を瞑っていた泉が少し目を開いて、鈴を思いっきり睨む
「おいおい、お前を利用してたけど、日に日にクズになっていくな。傑作だよ。ははは。でもお前ちょっと……うるさいよ」
鈴の胸ぐらをサトルが掴む
くそ!反応が遅れた
立ち上がるのに遅れをとった
「あたしや志木が、鈴のことを想って叱るのはいいけど、あんたが鈴にとやかく言うのは違う」
鈴を殴ろうとしたサトルの拳を杏様は、言葉で止めた。
拳を鈴に突きつけたままサトルは杏様に視線を戻す
「やっぱ、話し合いなんて無理かな?」
「そう?あたしは大丈夫やで」
杏様はサトルを睨み続ける
「ほらな、見たか?鈴!お前みたいなクソでも杏は守るんだぞ?凄いだろ?独り占めしたくなるだろ?」
突然狂ったように鈴に問いかけるサトル