冬の花
阿部さんは私がそうしている間、
私が居ない者かのように作業をして行く。

佑樹の体を、事前に用意して来ていた大きなスーツケースに入れた。

「俺達、もう二度と会う事がなければいいね」

阿部さんはそう言い残して、
その大きなスーツケースと共に私の部屋から出て行った。

事前の話し合いで、
佑樹の遺体は阿部さんが始末してくれる事になっている。

阿部さんが、この後どうするのかは、
私は知らない。
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