冬の花
4
隣にいる阿部さんの方へ視線へ移すと同時に、
「帰ろうか」


そう言われ、阿部さんは停めてあるパトカーの方へと歩いて行く。


先々と前を歩きながらも私の事を気にかけてくれているからか、
その足取りはゆっくりで、追い付こうと思えば追い付けるけど、
その少し後ろを歩く。


二人、パトカーにどちらとともなく乗り込み、
私が助手席でシートベルトをすると同時に阿部さんは車を発進させた。


お互い無言のまま、少し走らせた雑木林でパトカーは停車した。


それと同時に、私は阿部さんを見ると、
彼も私に顔を向けている。


目が合うと、心臓が強く動き出す。


ただ、これは今まで彼に感じていたトキメキとは違う。


恐怖、かもしれない。

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