いつまでも…片想い  若葉色

 月曜日 少し緊張しながら電車に乗った。彼は私の存在に気付くだろうか?

 彼がいるホームに電車が入る……いた!
でも彼はこちらを見てはいない。‘’見て!見て!こっちを見て!‘’心の中で唱える。

 出発のアナウンスが流れ、諦めモードになる。電車が走り出した瞬間に彼も私の方を見て…目が合った…と思う。

 私のことに気付いてくれていたら嬉しいけど、どうだろう?錯覚かも知れないが、気付いてくれていたら嬉しい。


 駅から10分ほど歩くと会社に着く。大企業ではないが私的には入社出来て良かったと満足している。

 3階の総務部が私の職場、更衣室で着替えていると同期で企画部の 進藤 綾乃 が入って来た。艶のある黒髪にスタイルの良さは女の私でも惚れてしまうくらいなのに、私と仲良くしてくれるなんて稀有な性格だと思う。綾乃は営業部の福原 拓馬 と付き合っている。

「 おはよう 」

「 おはよう 何? 声弾んでるよ!何かあった?」

「 うん!お昼に話すね 」

「 わかるような気がするわ…」

 そうだよね、感の良い綾乃なら気付いてしまうかもね。

 午前中の仕事は順調にこなしてお昼休憩になったので休憩室へ行くと、綾乃はもう来ていた。

「 そんなにニヤニヤ出来るって何があったの?」

「 実は…」と土曜日の出来事から今朝のことを彼の姿を思い浮かべながらテンション高く話した。

「 で、名前は?」

「 聞けませんでした… 」

「 連絡先も 聞いてないか……七海の存在が認識されたのだから、良かったじゃない 」

「 そうよね!明日の朝も楽しみなの。  一目でも会いたいな」

 話す事に夢中で最後にはお弁当を急いで食べることになってしまった。

 火曜日は彼も気にしていたのか 、確実に目が合い お互いに会釈した。少し緊張してしまったが今日は昨日よりも長く彼を眺められた。

 そうして 彼と会釈する朝が日課となっていった。
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