結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
 ルイードのことが本当に嫌いなわけじゃない。
 だから、やっぱり、ルイードのことは心配でもある。
「だったら、リーリア、結婚しよう。な?」
 だから、だったらって、どこにつながる言葉なの?
「ですから」
「魅力的だと思ってくれてるんだろう?」
 ルイードが大人の色気のある顔で私の顔を覗き込む。
「それは、世間的に、です」
 本当は私も魅力的だとは思うけれど、でも、それ以上にその顔に騙されるものか!きっとまた何かからかって遊ぶつもりだ!という防衛本能が強く働く。……そうね、ルイードには、17、8くらいの若くて純粋な可愛らしい子がお似合いまもしれない。流石にルイードもそれほど年の離れた子であれば、守ってあげようだとか、大事にしてあげようと思うわよね?
「……なぁ、リーリア、お前もこのままじゃまずいとは思っているんだろう?」
 急にルイードの声音が真面目な物に変わる。
「ロマルク公爵家に何かあれば、国が荒れる。公爵家だけの問題で収まらない。……叔父は立派な人だった」
 ええ。お父様は立派でした。
「リーリアも女公爵としてよくやっていると思う」
 ドキリ。
 ルイードが私を褒めるなんて。
「だからこそだ。だからこそ……いるだろう、次期公爵が……立派に後を任せられるものが」
 ああ、そうか。
 心配してるんだ。公爵家の行く末を。そうだよね。ろくな求婚者が来ないってのは、ルイードにも伝わってるよね。
 あんな奴らが公爵家に入ってきたら……。
 それに、私が死んだあと、世継ぎがいないとなると……公爵領はどう分割されて誰の手に渡るのか。それとも、ボンクラだと言われる分家筋の誰かが後を継ぐのか……。
「俺とリーリアの子なら、立派な跡継ぎになれると思うんだ。な?そう思うだろ?」
「ルイード、私のじゃないな、公爵家のために犠牲になる必要はありません」
「犠牲じゃないぞ、むしろ、いや、だから、分かるだろ?」
 犠牲になるわけじゃなくて、国のために尽くす。王族の務め。そして、臣下となる者の……義務。
 それとも……。

「ありがとう。私のことを心配してくれているのね……」
 分かっている。ちょっと意地悪なところもあるけれど、ルイードは本当は優しいって。
 あの時も、後で私がイチゴが好きだと誰かに聞いたのか、カゴ一杯のイチゴが贈られてきた。
 あ、……でも思い出したわ。
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