結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
 そうねと、寝室に移動しましょうと、大人の微笑みを浮かべて。
 や、やった!
 いや、まじですか!妄想万歳。
 おっと、ここでスマートに、そう、スマートな行動をとらないと。
 って、心臓バクバク。スマートってなに?
 とりあえず、騎士はスマートだよね。騎士らしく、淑女の手を取り手の甲に口づけてみよう。
 って、実行したとたんに……。
「ご、ご、ご、ごめんなさいっ!」
 リーリア様が猛烈に謝罪を始めた。
 えええ、何?何で?
 どうして?
 やっぱり、まだそういう関係になるのは早いって思いなおしたの?
 僕の妄想、肝心なところで妄想力がなさすぎ……。
 悔しさの余りぐっと拳を握りしめる。
 痛っ。あれ?握りしめた拳が痛い。
 これ、妄想じゃないの?夢でもなくて、えーっと……。
 げ、げ、げ、現実?
 いや待って、ちょっと、現実で、僕は、リーリア様に抱きしめられたの?
 あれ?なんで?
 だって、どうして?
 ご褒美なの?
 何のご褒美?
 っていうか、いや、もしかして、リーリア様、ぼ、ぼ、僕のこと男として見てくれるようになったとか?
 そ、そ、そんな、そんな、心の準備が。
 心の準備。
「あ、あの、その、こ、こ、子供を抱っこするってどんな感じかと」
 え?
 子供を、抱っこ?
 えーっと、僕のこと抱きしめたのって……。
 僕……を子供扱い……。
 あ、あれ?
 な、泣いていいかな?
「えーっと、ほ、ほら、アルバートは背が高いから、えーっと、ごめんなさい。そうよね。主従関係でもないのに、そんな恰好させられたら、ビックリしちゃうわよね?」
 っていうか、超勘違いして、寝室に誘っちゃったぁぁぁーっ。やばい、恥ずかしい、うわぁぁぁ。
 よかった、僕ヘタレで。
 うまく言えなくて。行動に移せなくて。
「こ、子供……」
 ……そうだよ、リーリア様にとっては、養子として僕を選んだんだから。そりゃ、1日2日でその気持ちが揺らぐわけないよね。

「あのね、行ってきますとアルバートが抱きしめてくれたでしょう?だから、帰ってきたら私が抱きしめてあげようと思ってたの。でも、なんだか、私が子供みたいにアルバートに抱きついてるみたいだなぁと思ったから、ごめんなさい」
 必要以上に申し訳なさそうに謝るリーリア様。
< 68 / 90 >

この作品をシェア

pagetop