結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
 ああでも、僕が出がけに抱きしめたことを嫌がっていたわけじゃない。それどころか、抱きしめ返してくれようとしたのは素直に嬉しい。
 だけれど、胸を押し付けても……誘惑されたと僕は勘違いするようなあの行為も……。
 リーリア様にとっては、ただの親子の抱擁のつもり。
 どこまでも僕を子供扱いするんだ。
 12歳の年の差はそんなに大きなもの?
 決して僕を男として見れないほどの年齢差なの?
 リーリア……。どうしよう。
 リーリア様が熟女じゃなければよかったのにって考えるなんて。僕は本当にどうしちゃったんだろう。
 リーリア様が大人の女性として僕を抱きしめるんじゃなくて……。
 リーリア様が……
「子供みたいに……僕に抱きしめられればいいんですよ……」
 思わず声が漏れる。
 おっと、つい感情が口から洩れてしまった。
 幸いにしてリーリア様の耳には届かなかったようで小さく首をかしげている。
 話題を変えよう。気持ちを落ち着かせなければ……。
「来客があったようですが」
「来客?……客っていうか、あれは、客扱いもしたくないわね」
 リーリア様が顔をしかめた。
 客扱いをしたくない?その割には使用人たちが丁寧に見送りを……。
 一体誰?何の用だったの?
「え?それはどういう……リーリア様にそんな顔をさせるなんて」
「親戚筋の人間で、結婚しろと言いに来たのよ。何度もうるさいんだから」
 親戚……まぁ、うちも遠い遠い親戚ではるけれど。
 近くの親戚だろうか。
 結婚しろと何度も……か。
 ご心配なく。僕がリーリアと結婚するんだ。
「心配せずとも近く問題は解決すると……僕が貴方と……一緒に……」
 そう。結婚したら、すぐに子供を作るんだ。これで跡継ぎの問題だってクリアする。
「……僕が、あなたに子供を……」
 って、これ、聞く側にとっては、体目的とか思われるんじゃ。
「あ、いえ、あーっと……それはその、それが目的ということではなくて」
 慌てて言い訳をしようとして、よく考えたらまだ口説いてないし、結婚したいって話もしてないし、何言ってんの、僕。
 ……うううう。
 怪しいやつじゃん。
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