結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
「ありがとう。アルバートに父親が必要だろうと言われてもきっぱりと否定することができそうよ!」
 ハンナが遠い目をした。
「王弟殿下がそれだけで引いてくれればいいですけどね……」
 ええ?何?まだ何かルイードは……。
 あ、思い出した。
 ルイードはアルバートを遠目で見た瞬間に「金のためじゃないのか」と言っていた。
 ……難癖をつけて、アルバートを認めない方に動くつもりなのかもしれない。
 ああ、そうだ。もしルイードが認めてもアルバートが世間から金のためにと後ろ指をさされるかもしれないと思っていたところだった。なんとかアルバートの実家の子爵家がお金に困らないようにできないかしら?
 ちょっと調べてみる必要がありそうね。確か少しずつ落ちぶれていったはずで、何代か前は貧乏じゃなかったわけですよね?
「それで、リーリア様はルイード殿下のことを報告にいらしたのですか?」
 ハンナの言葉に考え事を中断する。
「ああ、そうだったわ、えーっと、おやつは何がいいかしら?アルバートに尋ねたら何でも言いっていうんです」
「おやつですか?うーん、まぁ、確かに、お腹が膨れれば何でもいい……んでしょうね。子供……とくに男の子はいつもお腹を空かせていると思っておけば間違いないです。チョコレート1粒と、パン3つを目の前に並べてどちらがいいか選ばせたら、間違いなくすごく悩みますよ。チョコレートなんてめったに食べられないけれど、小さな1つじゃお腹は膨れない……と」

 嘘。
 それ本当なの?
 チョコレートとパンなら、チョコレートの方がいいに決まってるのに!
 パン3つなんて逆に食べきれなくて拷問じゃないの?
 ああ、よかった。ハンナに教えてもらってよかった。
 男の子って謎ね。
 うん、謎よ、謎。
 そうか、おやつはチョコレートよりもパン。
 あれ?でも、悩むっていうことは、本当は両方食べたいってことよね?
 じゃぁ、チョコレートをパンに挟んで……は食べにそうね。溶かして塗る?
 チョコレートパン……食べたことがないけれど、いえ、見たことも聞いたこともないけれど、料理長に相談してみようかしら?
 チョコもパンも食べられてお得!
 これでアルバートもどちらを食べようと悩まずに済むわよね。
 ふふふ。
 アルバート喜んでくれるといいなぁ。
「ありがとうハンナ!おやつを作ったら、ここにも届けるわね!」
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