結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
 ああ、そうだ。そう、セバスにまだ親子みたいなことをどんどんしたら引かれるからと私はくぎを刺されていたっけ。
■★
 もしかしたら、アルバートの方も、急に家族っぽく突っ走らないようにセーブしてた?
 本当はすぐにでも私と家族になりたいと思ってくれていた?
「ありがとう、アルバート」
 嬉しい。
 お酒が入ってきっと、本心が漏れてしまったのね。
 手をの場してそっとアルバートの頬に触れる。
 一瞬びくりと動いたアルバートの頭がかしいで、私の頬にお休みのキスをおと……さずに、そのままアルバートの顔が私の肩へと落ちた。
 首筋に、アルバートの唇が触れた。
 え?
 あ……
 こ、これ、お休みのキスじゃない……よね?
 経験したことがない感覚に、思わず目をぎゅっと閉じる。
 くすぐったいようなそれでいて、なんだか気持ちいような、不思議な……。
 ん?
 あれ?
 えっと……。
「アルバート?」
 首に顔をうずめるようにした体制のまま、アルバートは、静かに寝息を立てていた。
 ね……むって……る?
 すーすーと規則正しい寝息が耳元近くで聞こえる。
 私の上に、アルバートの鍛えられたたくましい体が乗り、胸が上下しているのも感じる。
「ああ、そうだ……人って、温かかったんだ……」
 ……アルバート。
 そっとアルバートの背に手を回してぎゅっと抱きしめる。
 お父様と同じ香り……。
 お父様と同じ金の髪に……お父様と同じようにお酒が弱くて……。
 ……。
 お父様とは違ってずいぶんと若々しくて。
 お父様と違って丁寧な言葉遣いをして。
 お父様と違って……る……けれど。
 けれど、アルバートが好きだわ。
 お父様に似ているから好きなんじゃないわ。お父様に似ていなくてもアルバートが好き。
 絶対に……家の子になって……
「家族に、なりたい……」
 横を向くと、綺麗なアルバートの寝顔がある。
 ふふ。
 そっと、金色の髪をなでると、ふわりと懐かしい整髪料の香りがした。
 さ、そろそろ自分のベットに戻らないとね。
 ……いい香り。
 もう少し、このままいても大丈夫かな?
 それにしても、今日は私、アルバートに勝ったのよ。
 眠らなかったもの。
 お酒の力を借りるなんてちょっとずるいかなと思うけれど、勝ちは勝ち。
 あれ?
 勝負なんてしてたかしら?
 そもそもなんだっけ?
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