ハルモニア~甘い運命 After Storys~
マリッジ•ハルモニア
〜side 都〜
ひらひらと、雪が降っている。
薄目を開けて窓を見ると、すでに起きていた修一さんが、カーテンを開けて外を見ていた。
修一さん越しに、雪が見える。
天使の羽根のような、大きめの牡丹雪。
今日、私たちは、結婚式を挙げる。
昨日の夜から会場であるホテルに泊まって、早朝から式の準備だ。
「おはよ…」
声をかける私に、修一さんは視線を移した。
そして、それは嬉しそうに微笑む。
「おはよう、都。
おいで、雪が降ってる」
言って、修一さんは私に手を伸ばす。
私も素直にその手を取ると、優しく引かれて、窓辺に連れて来られた。
窓の外を私に見せて、後ろから抱きしめる優しい手。
「天使の羽根みたいだね…」
私が呟くと、修一さんはぎゅっと腕に力を込めた。
「いい結婚式になりそう」
「そうだね」
私の言葉に嬉しそうに同意して、そっと腕を緩めた修一さんは、私を覗き込んで微笑んだ。
「さあ、準備に掛かろう、『奥さん』」