ベルガモの棘
「もう一回、キスしてくれませんか?」

今は例え、

奥さんの代わりだって良い。

私に触れてくれるならば...

でも彼は

これ以上触れてくれる事はなかった。

『今日はこれ以上はやめないか?俺も君もきっと酔っているから冷静な判断が出来ないんだと思う...送ってくれてありがとな』

その言葉を聞いた瞬間

私は理解した。

抱きしめてくれたのも、

キスしてくれたのも、

全部無かった事にしたいんだと。

一瞬でも今だけは

部長と部下の関係ではなく、

特別な関係になっていたと

期待した自分が

馬鹿だなと思った。

気付けば涙が出ていた。

情けない顔を見られたくなくて、

私は彼の部屋を後にした。

「蓮、今から少し会えない?」

1人で居たくなくて、

幼なじみの蓮に電話をした。
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