揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
「それで、ずっと手をこまねいてたの?」


迎えたGW。仲良くなった会社の同期や、学生時代の友人とショッピングやおしゃべり、グルメを楽しむ毎日。


そんな中、やはり久しぶりに会った梨乃に、一連の出来事を報告すると、呆れたような声を出された。


「仕方ないじゃん。部署は違うし、なかなか接触するチャンスが・・・。」


「あのねぇ、あんなに恋い焦がれていた人に会えたんでしょ?だったら、あとはアタックあるのみでしょう。」


「私もそれはそうしたいよ。でも新入社員としてはやっぱり・・・。」


「遠慮することなんて、何もないじゃん。別に仕事中にアタックしなくたって、その人の帰りを待ち構えてるとか、方法はいくらだってあるじゃない。」


何を言ってるんだと言わんばかりの梨乃。


「せっかくのGWに、女子とばっかり会ってるなんて、もったいない。デートに誘う絶好のチャンスだったでしょ。」


「えっ、私から誘うの?」


「向こうから誘われる可能性がないんだったら、そんなの当たり前じゃない。」


言われることは、いちいちごもっともで、鈴は何も言えなくなる。


(やっぱり、怜奈じゃなくて、梨乃に先に相談すべきだったかな・・・。)


鈴の心の中に、そんな後悔が生じる。


「仕事に支障をきたすようなことになっちゃったら、そりゃ顰蹙買うだろうけど、勤務時間外にコクったり、デートしたりなんて、誰だってすることでしょ?新人だからって、遠慮する必要なんか、全くないよ。」


「それはそうだよね・・・。」


「でしょ?だとしたら、今、鈴がやってることは、単なる時間のムダだよ。」


「梨乃・・・。」


「こんな再会なんて、なかなかないと思うよ。だとしたら、鈴の言うとおり、運命なのかも。だから、自信持って行きな。」


「うん、わかった・・・。」


梨乃の勢いに引きずり込まれるように、鈴は頷いていた。
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