地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
レセプションパーティー

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玲奈はシャンデリアの輝くレセプションパーティーの会場へと、やって来ていた。パーティーの開始時間の二時間前ということもあり、ライフの社員も来客もまだ来ていない。パーティー会場のスタッフだけが、テーブルクロスをかけたりグラスを並べたりと、忙しく動いている。

玲奈は大きく深呼吸をすると、自分の心を偽らず相手に伝えようと、しっかりと前を見つめ、後ろからの足音に耳を澄ましていた。

そして会場を動き回るスタッフの足を音とは違う足音に気がつくと振り返った。そこに立っていたのは……。


優人さん。


スリーピーススーツを着こなした優人の姿に息を呑んだ。人を引きつける圧倒的なオーラ。手足の長い優人はモデルのようにゆっくりと近づいてくる。優しく微笑むその姿に胸がギュッと締め付けられた。

傷つくことを恐れていては前には進めない。

自分の気持ちを素直に伝えると決めたのに、優人さんが実際に近づいてくると足がすくんでガクガクと震え出しそうだった。

玲奈は息を深く吸い一気に吐き出すと、真っ直ぐに優人を見つめた。

「優人さん昨日はごめんなさい。私の話を……気持ちを聞いてくれますか?」

自分を見つける真っ直ぐな瞳と目を合わせると、優人は真剣な表情を浮かべ頷いた。

玲奈は思いを巡らせながら、ゆっくりと話し出した。

昔の思い出。

大好きだった気持ち。

大学での出来こと。

愛されない本妻と言われたこと。

優人が家のために婚約したと言ったこと。



話し終わった玲奈を見つめ優人は絶句した。

確かに玲奈の大学時代、達の悪い女子達に囲まれ、「家の為に結婚するのか」と聞かれ、「ああそうだよ」と答えた記憶がある。

まさか、あれを聞かれていたなんて……。

あの時いた女子大生の中に、玲奈をよく思っていない女子か何人かいたため、話を合わせただけだった。

言われてみれば、あの頃から玲奈の様子はよそよそしくなっていった。

自分の軽率な発言のせいで玲奈をこんなにも傷つけていたなんて。

優人さんは頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。

余りの衝撃に言葉を発することも出来ない優人に向かって玲奈はグッと背筋を伸ばすと、目を逸らすこと無く告げた。

「私は優人さんが好きです」

えっ……。

今の話の流れから婚約破棄を言い渡されると思っていた優人は驚き戸惑っていた。先ほどまで地獄に突き落とされたようだった心が、ふわりと軽くなっていく。


「優人さんは昔から私の青空の王子様でした。愛されない本妻でいいと思ったときもありました。でも……決めたんです。愛される本妻になろうって、これから優人さんを落として見せます。覚悟していて下さい!!」

そう言った玲奈の顔は憑き物がが落ちたかのように清々しく、とても美しかった。

そこへパーティー会場のスタッフがやって来た。

「会場の確認をしていただきたいのですが大丈夫ですか?」

「分かりました」

そう言うと玲奈はスタッフと共に会場の方へ行ってしまった。

玲奈の背中を見つめていた優人は、顔を赤く染め頭を抱えるとその場に座り込んだ。

玲奈のいきなりの告白。

俺を落とすって……。

もう完全に落とされてますよ。

あんなにズバッと宣言までして……。


俺より格好良すぎだろーー!!



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