片桐くんの愛は意外にも一途でした
約束のデートの日まであと少しなのに、このままではマズい。


水着もないままでプールなんて……。


「俺が付き合ってやろうか?」


「え?」


「1人で入るのが無理でも、俺と一緒なら平気だろ?ただ、女物の水着売り場に俺が行くのも恥ずかしいけどな……」


神楽が頬をポリポリとかきながら、なんだか恥ずかしそう。


確かに2人で行けば安心だけど。
そんなことのために、神楽に頼んでいいのかな?


片桐くんに選んでもらおうと考えたけど、ここは可愛いのを着て驚かせたかった。


楽しみにしてるって言われたのに、期待を裏切るような真似はしたくない。


って、これじゃあ私が片桐くんのためにオシャレを頑張ろうとしてる女の子みたい。


「でも、神楽の放課後の時間を奪うわけにはいかないし」


「そんな遠慮はしないでくれ。それにこういうときの友達だろ?」


「うん、ありがとう。じゃあお願いしようかな」


本当は仲のいい女友達に相談するべきなんだろうけど、私にはその友達がいない。
気軽に他愛ない会話を出来る同性の友達がほしい。


私は、今日の放課後に神楽と水着を買いに行くことに決めた。
今日は神楽も部活の助っ人もない日で予定が空いていたから。


片桐くんとゲーセンデートしたときは変な緊張や鼓動が速くなったりしたのに。


神楽と2人きりで出かけるとなっても、何も感じないのはどうしてなんだろう。
むしろ友達とお出かけって感じでホッとしてる。
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