青空が君を笑顔にするまで

人を好きになるってこんなにも苦しいの?


人を好きになったら気持ちがまるで天気のように複雑に変化する。


好きになったり。


怒りたくなったり。


嫌いになったり。


悲しくなったり。


仁を思い出さないように努力をしている。


周りが静か過ぎて。


時々、仁の声が蘇ってきそうになる時。


私は目をギュッと瞑って両耳が痛くなるぐらい両手で強く押さえる。


仁の低くて良い声。


もう、聞きたくない、聞きたくない、聞きたくない……。


ある日曜日の朝。


その日は快晴だった。


私は自転車に乗り一時間かけて海へ行った。


誰もいない広い砂浜にその辺で見つけた長い木の枝で大きく“仁が大嫌い”と文字を書いた。


しばらくするとザブンと波がやってきて私が書いた字を消していった。


仁を嫌いになれたらいいのに……。


胸の真ん中が苦しい。


今度は「仁が大嫌いー!」と叫んだ。


大声で水平線に向かって何度も叫んでいるうちに声が枯れてきて、泣けてきたので止めた。


もっと簡単に忘れらると思っていた。


私の考えはまだ甘かった。


私は一方的に仁からの連絡を絶ち、勉強に打ち込む事にもう決めた。


そう私の将来のビジョン為に。


仁に悩んでいる時間をもっと他の時間に使おう。


そうしている間にきっと自分の仁に対する気持ちも落ち着いてくるはず。


渾身の思いで仁のラインは通知をオフにして。


そして、仁のラインは自分の気持ちが穏やかになるまで見ないでおこうと決めた。

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