青空が君を笑顔にするまで

そんなこんな日々を送っていたある下校時の話。


偶然に下駄箱で仁を見かけた時だった。


仁の方から私に声をかけてくれた。


「一緒に帰ろうか」


「うん」


私は迷う事なく顔を縦に振った。


この時なんだかクラスが離れたせいか、前よりも仁のことを愛おしいと思うようになった。


普通の速度で歩くと自宅まで30分あれば余裕で着く距離を二人ともわざと速度を落として歩いた。


「もう、3年生だな」

「うん。早いねー」


「俺達、受験生かー──」


「受験勉強、嫌?」


「好きなやつ、いる?」


私の顔を見ながら仁が笑った。


「あんまり、いないよね」


私も笑った。


「仁、志望校、もう決めたの?」


「まだ、決めてないよ」


「私も一緒」

< 86 / 163 >

この作品をシェア

pagetop