青空が君を笑顔にするまで

「そうだ、お前、華道部をこのまま続けるの?」


「うん。私、副部長になったからね」


「ほう。俺はバスケットボール部の部長兼キャプテンみたいなかんじかな。あー、責任重っ!」


「仁、凄いね!仁ならできるよ。大丈夫!」


「そうかな」


「仁、もっと自信を持った方が良いよ」


「お前がマネージャーに来てくれたらなー•………………」


バイクが大きい音を立てながら走り過ぎて行き、仁の話の語尾をかき消していった。
 

私は立ち止まり、仁の顔を見上げた。


「ごめん……。仁、……何て、言った?聞き取れなかったから。仁、ねー、ねー、もう一度、言って?」
 

仁がくすっと笑い顔を横に振った。


「……なんでもないよ、気にするな。──じゃあ、俺、ここで帰るわ」


「あっ、ここ、私の家の近くだ……」


私の家の途中まで送ってくれるなんて、紳士過ぎる。


仁の家、私の家と反対方向だったはず。


ここから帰ると、仁の家遠くなっちゃう……。


気づかなかった。


さり気ない優しに少し涙が出そう。


仁、優しすぎ。

少しずつ小さくなっていく仁の背中が寂しくて。


何度も仁が見えなくなるまで「バイバイ」をずっと言い続けた。


仁も背中向けたまま手を振っり何度も「バイバイ」と私に言ってくれた。


──またね、仁。

  
< 87 / 163 >

この作品をシェア

pagetop