青空が君を笑顔にするまで
蘭ちゃんが照れながら話を始めた。
「同じクラブをしていて。その人同じ学年の人で、背が高くて、イケメンで、凄く優しいの」
なんとなく、少し話を聞いただけで、おおよその察しはつきそうだった。
私は心の中でもやもやとしているのは嫌だったので。
思いきって私の方から蘭ちゃんに聞いた。
「その人って……もしかして原田 仁?」
「ちがう、ちがう!」
私は安心した。
「嘘……」
えっ、嘘……?なにそのフェイント。
「えっ?」
「そう、原田 仁。私の好きな人」
内心、どうかお願いします仁じゃありませんようにとお願いをしていたけれど。
「仁なんだ……」
「告白してないし。まだ、片思いなんだけどね」
よかった、片思いかぁ。
蘭ちゃんが手でショートカットの髪をクシャクシャと軽く整えた後、眼鏡をかけ直した。
私はその時思った。
仁の理想の人に近い人は蘭ちゃんなんじゃないかと。
前に仁から聞いた話を思い出した。
仁の理想の人はショートカットで眼鏡をかけている人だったから。
蘭ちゃんが透き通るような綺麗な目で私の顔を見た。
「やっぱり、私と仁、似合わないよね?」
「そんなことないと思うよ。告白すればいいのに」
私は心にもない、とんでもないことを言ってしまった。
私の思い迷走中。
「そんな勇気ないよ。仁の心にダンクシュートなんてできない……。もうすぐ、受験だし。こんな時期に、もし恋愛でしくじったら、立ち直りがきかなくなりそう」