恋愛イデアル続編
節約。
LED照明の一部でシステムに異常があるようだった。

リンネは、アパートの一室の照明システムの修理作業を放棄し、疲れた身体で冷えたコーヒー(光熱費の節約)を飲むとテレビを点けた。曇天の冬の日差しが差し込む。

テレビやスマホ、PCのディスプレイは照明の代わりになる。リンネはコーヒーを飲み終えた。

リンネは、テレビを点け、スマホ規制を主張する心理学者を冷たい憎悪を込めた鋭い視線で見た。

心理学者らは情報処理技術の失脚を画策する半ば頭がおかしい、危険な勢力と付き合いがある勢力。老朽化した建築設備とそれがもたらす、薄い暗やみのなかでリンネは次第にそう確信をするようになりました。

コンセントに差し込まれた筒型のLED照明は10Wの光量に過ぎない(リンネは住宅設備やリフォームに関する知識が少ないため、技術革新が進むとともに、家庭内の利用できる電力配線などが次第に限られていく)。したがって、インフラが老朽化した、リンネの暗い寝室では夜間、スマホ以外では読書や副業などは不可能であった。

リンネにとり、"現場を知らない"心理学者の主張(スマホ規制など)が仮に適応された場合、夜間の室内照明といった、基本的なインフラを破壊されることを意味する。

生活のためのインフラ投資はきわめて限られていた。節約と低い収入のためだ。
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