恋愛イデアル続編

縁側。

イデアルと長月遥は縁側で向き合い囲碁をする。澄んだ秋空だ。いわし雲が浮かぶ。鳥が鳴いている。

縁側の先には数本のカエデが植えられ畳石として煉瓦が敷かれていた。庭園は日本式庭園であったが、一部の箇所や建材では、いわゆる英国自然庭園との折衷をほどこした庭園様式となっていた。

ここがイデアルが暮らす民家だ。囲碁の碁石を打つ音が響く。

イデアルと長月遥、ふたりの巨頭には考えがあった。

それは囲碁をすることで来るべき受験に備えるという考えであった。

両者はもともとから精神的な円熟こそ将来に高い付加価値となるという想定を練っていたのである。

縁側の庭、カエデの低木が紅葉をする。秋という季節がめぐってきたのだ。