恋愛イデアル続編

バターをとかす

[バターをとかす]

ベッドで読書中。冒険家の自伝とかそういうの。

(本を諳(そらん)じれば、かたまった心のバターをも溶かすのです)

ある日そんなことを言った気がする。
うまく思い出せない···

長月遥は操作盤でゆれる心理クレーンをあやつり、記憶海から記憶を取り出しました。

バターは心理クレーンの滑りをよくする、機械油でした。バターは朗誦し、諳じた言葉からうまれます。

つまり言葉がないと記憶海からは荷物を心理クレーンでは取り出せないはずだ。