恋愛イデアル続編
地球追放
[地球追放]

ざあ、と風が吹いていくんでさ。

と御者さんがいった。

あたしはベルだ。

その平野の木々、イチイやカシの木が繁る農園(シャトー)には風が走るようだった。それを見て幸せそうに笑うあたし。

ハンスはきっとそれに恋をしてるんだと思うな、自然を感じることがそのまま幸せなのだから。短い夏の日々に。御者さんは立ち上がると煙管をすう。パイプ草。

干し草が甘い香りを放つようだった。あたしはベル。

ハンスと干し草のなかで愛し合った。それを何度も確かめて。馬車がすすむ。風がふたたび農園の木々を揺らし走るのだった。
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