君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
かなり恥ずかしくて、でもかなり頑張って言ったのに。


中野 神弥には届かなかったのか、立ち止まることなくそのまま進んでいく。



「ちょ…っ」



どうして…?


このまま…私の気持ちは誤解されたままなの…?


そんなの…



「嫌…っ!!」



私は目一杯息を吸う。


そして…



「神弥…っ!私は、アンタが好き!私が好きなのは…神弥だけよ…っ!」



思い切り叫んだせいでつい、噎せる。


と――…



「んなコト、とっくの昔から知ってる。」


「え?神――…」



私を優しく抱き締める腕。

頭上から響く優しい声。


そして、軽く塞がれた唇。

つい、泣きそうになる。



「俺も花菜が好き。」



唇を離すと、そう言ってハニカんで笑った。
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