君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
ちびっこの母親が半泣き状態で部屋に入ってきて。


後ろからゆっくりとちびっこの父親が歩いてきているのが見える。



「まだこんなことしちゃダメ!あーちゃんは、あーちゃんは…まだお嫁には行かせないんだからぁ!」



そう言ってちびっこの母親はちびっこを抱き締める。


「葉菜…綾香を離してあげな。嬉しいことじゃないか、彼氏が出来たなんて。」


ちびっこの父親が宥めると、渋々母親はちびっこから離れた。



「僕は葉菜と出掛けてくるよ。…綾香。くれぐれも夜更かしはしないようにね。」



ちびっこの父親は俺に視線を向けると微笑む。


扉が閉まると、二人して溜め息。



「《当分、既成事実は無理みたいだな。》」


「ごめんなさい。ママ、騒がしくて…」


「《いや?》」



ちびっこの母親ならあんなもんだろ。


蛙の子は蛙っていうしな。

しかし。


今から先行きが不安だな…。






【第10章からは通常に戻ります】
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