君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
10
【8章の続きです】


「あ…」


「拓海…」



目の前に立つ人物に、私も綾香も言葉を失う。


まさか、同じ大学だったの…っ?!



「花菜もここに進学してたとはな。…まさか、俺を追いかけて来たのか?」


「まさか!」



でも待って?


私は首席合格だったらしいし…私が拓海の存在を知らなくても、拓海が私の存在を知らないはずは…



「拓海!探したよ!」



拓海に満面の笑みを向け、走り寄ってくる男の子。



「あれ?土居さんだ。」


「高良くん!周さんとお知り合いなのー?」


「うん、拓海は僕の先輩なんだ。あ、急ぐんだった。行くよ、拓海。じゃあね、土居さん。」



拓海の腕を引っ張りながら綾香と会話を交わす。


話を終わらせると、瞬く間に拓海は連れ去られていった。
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