君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

声の主、愛瑠ちゃんはふんぞり返って言う。



「しょ、勝負って…」


「何?はなっから勝つつもりがないの?」


「いや、そういうわけじゃ…」


「なら、正々堂々、勝負しなさい!」



……愛瑠ちゃんには何を言ってもダメかもしれないなぁ。


愛瑠ちゃんは私から崇大に視線を移す。


と。



「あ、貴方、何?!」


「【あ?】」


「べ、別にカッコいいとか思った訳じゃないからね!た、ただあんまり背が高いからびっくりしただけよ!」



プイッと崇大から視線を外す。


あぁ、カッコいいとか思った訳なのね。


何だかなぁ。


生意気な感じなのに、愛瑠ちゃんって憎めない子だ。
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