君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
だけど…


結芽さんはどうして、神弥まで辛い顔をしてるなんて言ったんだろう。


出ていけと言われた私の方が、幾分か辛いのは分かるけれど。


言った方の神弥がどうして…



「…あ。」



なんて考えてるうちに、1508号室に着いちゃった。


荷物は今日中には実家に送っとくって言ってたし。


メイクボックスとかバッグとか取ったら…もう、本当にお別れだ。


ねぇ、神弥?


どうして急に…出ていけなんて。


そんなことしたら、私たち


「本当に接点が無くなっちゃうよ…」



呟いてみても、神弥に届くことはない。


私は泣きそうになる自分を叱咤して、両頬を叩く。


意を決して…扉を開けた。
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