君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「昔の男って、誰?」


「や、あんたの知らない人だと思うし…」


「知らなくても会いには行ける。」


「は?!何で会いに行くの!?」



私が焦って捲し立てるように言うと、中野 神弥はクッと笑った。



「冗談だよ、バーッカ。」



悪戯っ子のように笑う…


むっちゃ腹立つんですけど…。



「花菜の昔の男になんか興味ねぇよ。他人の過去なんか知ったって得しねぇし。」



自嘲的に笑う中野 神弥に、私は違和感を感じた。


きっと中野 神弥の過去は…嫌な思い出が多いんだ。



「あー…花菜。」


「…何?」



「その…この間は」



―――ピンポーン…



遠慮気味にインターホンがなる。



「誰だよ、んな朝早く…」



チッと舌打ちしながら中野 神弥が玄関に向かう―――…
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