生きていこう。それがいいんだ。
「最初は、“顔さえ見られなければいいかも”って短絡的に考えてみた。
そうすることによって、死者と化した馬鹿息子に刑事達が聞き込んでも、
“誰かは分からない”、“顔は分からなかった”ってシズカには辿り着けない。」
「・・・・・・・。」
「でもこれだと極端な話、
全世界の人間が容疑者になる。
と言うことは、シズカが容疑者リストから除外された事にはならない。」
「・・・いつの日か私に辿り着く可能性はゼロじゃないって事ね。」
「だから、馬鹿息子に・・
【男に殺された】と思わせる。」
「・・・・・・・。」
「もっと言うと、“タケルに殺された”と馬鹿息子に思い込ませる。
もし奴が、過去に揉み消した犯罪をほじくり返されたくなくて、
俺という具体名を出さなくても、
とにかく、死者の証言を基に“男が犯人”だと刑事達に思わせれば、
その瞬間にシズカは容疑者リストから除外される。・・・良い作戦でしょ?」
「どうやって馬鹿息子に思い込ませるの?
私に男装しろって?」