生きていこう。それがいいんだ。


「最初は、“顔さえ見られなければいいかも”って短絡的に考えてみた。

そうすることによって、死者と化した馬鹿息子に刑事達が聞き込んでも、

“誰かは分からない”、“顔は分からなかった”ってシズカには辿り着けない。」


「・・・・・・・。」


「でもこれだと極端な話、
全世界の人間が容疑者になる。

と言うことは、シズカが容疑者リストから除外された事にはならない。」


「・・・いつの日か私に辿り着く可能性はゼロじゃないって事ね。」



「だから、馬鹿息子に・・
【男に殺された】と思わせる。」


「・・・・・・・。」


「もっと言うと、“タケルに殺された”と馬鹿息子に思い込ませる。

もし奴が、過去に揉み消した犯罪をほじくり返されたくなくて、

俺という具体名を出さなくても、

とにかく、死者の証言を基に“男が犯人”だと刑事達に思わせれば、

その瞬間にシズカは容疑者リストから除外される。・・・良い作戦でしょ?」


「どうやって馬鹿息子に思い込ませるの?
私に男装しろって?」

< 47 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop