冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

ちょうど会議の終了時間でもあり
間に合った事に安堵。


「俺の留守の間に変わった事は?」

「特には…
 何もありませんでした…」


予想以上にイトカは体の調子が思わしくなく
返事が小さくなってしまい
その違和感は社長も感じていた。


「今日は2人とも帰れ。
 俺も会議で疲れたし仕事は終わりだ」


早上がりの号令は
イトカにとっては願ったり叶ったりだった。

黙々と後片付けを済ませ
重たい体を引きずるように
社長宅に帰る準備をしていると…


「おい」


背中越しに社長から呼び止められてしまった。


「…なんです?」


「お前…
 いや、なんでもない」


何か言いたそうに途中まで言い掛けて
結局やめてしまった社長に対し
『用がないなら呼ばないでよ』と思いつつ
イトカは挨拶を済ませ帰宅。


その後ろ姿を見つめ
違和感から妙な胸騒ぎに変わりながらも
社長は残った仕事を進めていた―――


珍しく早く上がれ
帰宅したのは20:00より前。


「本当…限界」


せっかく早く終わったというのに
何もする気にならず
借りているベッドにダイブ。
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