冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

卵と数種類の野菜の入った粥と
ホワイト仕立ての鯛のポワレに
洋風のゼリーまでついている。

粥も含めて
フランス料理を彷彿とさせていて
それは明らかに
”シバ社長の手作り”


「これ…社長が?」

「あぁ。
 飯食ってないって言ってただろ。
 昨日お前寝てたから、今朝温め直したんだ」

「社長が料理なんて…」

「文句があるなら食うな」

「文句なんてありませんよ。
 ぜひ喜んで頂きます」


気に掛けてくれていた事
わざわざ作ってくれた事
その気持ちがイトカは素直に嬉しかった。


「意外にめちゃくちゃ美味しい…
 シバ社長って
 料理出来たんですね」


シャワーを済ませ
作ってもらった食事を食べながら
率直な意見を口にした。


「お前だいぶ失礼だな」

「そうです?
 だってビックリですよ。
 料理どころか台所に立ってる姿だって
 1度も見た事ないですもん。
 作れない人なのかと思ってました」

「知らなかったのか?
 よくそれで俺の秘書になろうと思ったな」


社長は完全に呆れた様子で
深い深い溜め息を吐いた。

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