ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜


 今日の幹事、西谷さんが大皿料理を持ってやってきた。
「はい、これ〜あっちのテーブルのやつ。皿は交換しますね」
 空いた皿を通りかがった店員さんに渡している。
 そのまま、空いている俺の隣に座った。
「須藤君、飲んでる?」
 西谷さんは適度に飲んでいるようで、顔が少し上気している。
「お酒強そうだよね」
 西谷さんは俺の1年先輩で、ウチのチームだ。
 毎年、新人歓迎会は2年目の人が幹事をするらしい。
「弱くはないと思います」
「おおいいね、今度飲みに行こう」
「よろしくお願いします」
 西谷さんと村田さんが話しているのを聞きながら、ふと部屋を見回すと、中村さんと井上君が入れ替わっていた。
 中村さんは真ん中のテーブルで、先輩達と笑っている。
 井上君は、本田さんの向かいに座り、ビールで乾杯していた。

 あれ、俺も他のテーブルに行った方がいいのかな、と思ったら、小田島さんが微笑んだ。
「須藤はこのままでいいぞ。無理して移動しなくていいから」
「あ、はあ……」
「西谷がこっちに来たし、もう少ししたら隣に行けばいいよ」
「はい」
「システム課はさ、細かいこと気にしない人が多いし、多分いろいろやりやすいと思う」
 だから飲み会も無理に出なくていい、と小田島さんは教えてくれた。
「ウチのリーダーの磯貝さんは、特にそう。歓迎会と送別会は来るけど、他はほとんど不参加。とにかく家に帰りたいんだって」
 磯貝さんは、確か35歳って言っていた。2人目のお子さんが生まれたばかり、と聞いた。
「他のチームも似た感じだから、システム課にいるうちはそんな感じで大丈夫だから」
「やっぱり異動とかあるんですか?」
「そりゃああるよ。それぞれ適正があるし。まあでも本人の希望もある程度聞いてもらえるから、なんかあったら言ってみて」
「はい、わかりました」
 小田島さんの話が本当なら、多分思ったより楽に過ごせそうだ。ちょっとホッとした。

 ホッとしたらトイレに行きたくなって、席を立つ。
 済ませて廊下に出ると、井上君とすれ違った。
「須藤君、俺ちょっと飲み過ぎた」
 ハハッと笑う。童顔のせいか、笑うと少年ぽさが前面に出てくる。
 小学生からずっと野球をやっていた、という彼は、爽やかで一所懸命に仕事をしている。隣のチームだけど、それは伝わってきていた。
「本田さんにクールダウンしておいでって言われたよ」
 そう言って、トイレに入っていった。



< 4 / 130 >

この作品をシェア

pagetop