転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
相変わらずのレヴの開発力の高さにサマラは感心する。それに、粘土板の縁に装飾されたサマラの瞳と同じ緑色のエメラルドが、彼がサマラを思って作ってくれたことを表しているみたいで嬉しい。

「どうもありがとう。大切に使うね。これでたくさんお喋りもメッセージもしようね」

頬を染めてサマラが礼を告げれば、レヴもはにかんだ笑みを見せる。
なんだか気持ちがくすぐったくてモジモジとしていると、背後に圧を感じて驚いて振り返った。

「……面白いものを作るな。だが、使うなら俺の目の届くところで使え」

「お、お父様……」

後ろからサマラの手もとを覗き込んできたのはディーだ。口調は穏やかだが、どことなく冷え冷えとしたものを感じる。

けれどサマラはクスッと肩を竦めると、「はーい」と素直に返事をした。
レヴも「そうします」と頷いてみせる。

そんなふたりを見てディーはフンと鼻を鳴らすと、「約束は守れよ」と言い残して背を向けた。
年頃の娘を持つ父親として葛藤しながら譲歩するその姿を、サマラは内心(可愛いなあ)と思って眺めた。

サマラは現在、レヴと正式に付き合っている。ディーの監督のもとで、清く正しく交際中だ。

色々なことがあったが、レヴは今、普通の十六歳として生きている。
彼が過酷な運命を脱し明るい未来が開けたのは、一ヶ月前、魔人になったレヴをサマラが奇跡の光で救ったあの日からだ。



あの日、サマラが起こした奇跡はレヴを甦らせただけに留まらなかった。
土で出来たゴーレムだったレヴの体は本当の血と肉を得て、本物の人間として生まれ変わっていた。

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