独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
結局は海斗さんに甘える形で、存分にシュノーケリングを楽しんだ。
お昼は近くにある八重山の郷土料理を食べに行こうと、提案されている。
着替えを済ませ更衣室を出ていくと、海斗さんの姿は見えない。外で待っているのかもしれない。
聡さんにお礼を言って行こうとする私に、思ってもみなかった声がかけられる。
「海斗とお幸せにね」
これには堪らず、声が上擦ってしまう。
「そんな、滅相もない」
動揺した返答を笑われて、聡さんはますます表情を緩ませる。
「海斗がこんなに心開いている女性、初めてだから。由莉奈ちゃんが良かったら、あいつの傍にいてやってよ」
「そんなわけ……」
根も葉もない期待を一身に受け、戸惑う私はそのまま送り出された。