独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「まずは……夕食はまだ?」

「あ、はい。その、連絡もせずに、本当にすみません」

「次からは遅くなるのなら、連絡して」

 頭に手を置いてかき回したあと、キッチンへと歩いて行く。

「あっ! 私もなにかします」

 かき回された髪を整えてからキッチンに入ると、パスタを茹で始めている。

 別の鍋にも火がかけられ、食欲をそそるにおいがしてくる。

「それじゃスペアリブ、焦がさないように見てくれる? 温まったら皿に盛ってほしい」

「スペアリブですか⁉︎」

「苦手だった?」

 いいにおいがしていた鍋を開けると、照りのついたスペアリブ。

「いえ、豪華な夕食だなと思って」

「そりゃ、誰かさんの胃袋をつかまないといけないからね」

「え?」

 胃袋をつかまなくたって、海斗さんのスペックならいくらでも女性が寄ってくるはずだ。

 場を和ませるために、冗談で言っているだけとわかっている。
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