双子の異世界・奇跡の花束
無口なヴォルスの代わりに、クルーガが状況を聞いてきた。


「で、どこで攫われたの?」


「・・わからない」


「じゃあどこの街の子?それとも村?」


「ドルーア」


「聞いた事ないな?ヴォルス知ってる?」


「知らない」


ぴたり。

その言葉にミネルアは立ち止まる。

俯いて地面をジッと見つめている。

二人は不思議に思いミネルアを眺めた。



「どした?」


「ドルーアは帝国だよ?世界で一番大きいんだよ?」


とミネルアは返した。


「帝国?帝国って言ったらルアード帝国がここらへんで一番でかいけど」


「ルアード?ルアードっていう帝国は・・知らない」


「じゃあミネルアはすっげー小さな村とかで生まれたんじゃない?
帝国を知らないなんて相当な田舎者だぜ?」


「ち、違う・・だって私はそこの・・」


と訴えようとした瞬間に、ヴォルスが遮った。


「待て、言ってることが変だ」


「だよな。まだ気が動転してるんじゃねえ?」


「・・・いや、何か・・違う」



ヴォルスはしゃがみ込み、ミネルアを下から見上げる。



「ミネルア、ドルーア帝国の他に知ってる国は?」


「んと・・ユミール王国とか、ジオル王国・・ファンデール王国と・・」


「!?」


「聞いたことねぇな・・」


ヴォルスとクルーガは目を見合わせる。


「はあ?まさか・・この子」


「クルーガ・・だがそうとしか考えられない」


「でもよぉ・・」


困惑した様に二人は顔を伏せる。


ミネルアは急に二人が恐ろしく見えた。


真剣な顔で何か考えている。


「・・・」


ミネルアの体はまた怯えで震え始まった。


_私、何かしたの?怖い・・怖いよ・・お母様、お父様、ゼノ

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