双子の異世界・金色のはなびら
うつむいたエレノアに国王は言った。

「エレノア、これは我が国の為なのだ。
お前が皇帝の側室になることで我が国は助かる。
ドルーア帝国は今やどの国よりも強い。その傘下に入らなければ我々は必ずや滅びるだろう。
お前はこの国の姫として皆の命を救う事ができるのだ」

「お父様・・」


_そうだよね。私はこの国の王女として産まれたんだ。
国の為に尽くせる人間になれと。そうやって教えられてずっと育ってきた。
私は国を継ぐ兄様の代わりにはなれない。
妹の様に愛嬌も良く賢い頭も持っていない。私はこの国では役立たずなのかもしれない。


「わ、わかりました」

エレノアは震える手でドレスの裾を強く握りしめた。


_嫌だ!


_嫌だ!!


_嫌だ!!!


返事とは裏腹に、感情が全てを拒む。


人生で一番辛い瞬間だった。

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