好きな人を追って生まれ直したら、まさかの悪役令嬢でした。
「ねぇ、佐々木君はどこへ転生したの?」


 色々わけわかんないけど、でも一つだけわかってることがある。


「私を佐々木君と同じ世界に生まれ変わらせて」


 淡白な表情をしたこの少年の眉が、ピクリと揺れた。事務的に淡々と話をするこの少年が見せた初めての表情とも言える。

 だって私、まだ佐々木君と手さえ繋いでない。そもそも話したのも今日が初めてで、たったの2時間程度なのに……そんな運命なんて、悲劇すぎる……。

 生まれ変わって、また新しい人生を歩んで……でもそこに佐々木君がいないんじゃ、意味がないじゃん。

 ……考えれば考えるほどに気持ちが高ぶって、どんどん不満が爆発する。この変な状況にも、この理不尽な出来事にも。


「だって私は死ぬ運命じゃなかったのに死んじゃったんでしょ? 神様なのにそれを防げなかったんだよね? だったらお詫びに佐々木君が生まれ変わった世界に私も転生させてよ」


 それくらいできるでしょ。だって全知全能の神なんだから。むしろここで蒼井梨々香として息を吹き返させてやる、なんて言われたとしたら私は断固拒否だ。選ぶ権利はこちらにある。ミスしたのはそっちの責任なんだから。

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